親が老人ホームに入っていた実家でも3,000万円控除は使える?
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不動産マスター ゆいの結論
使えます。ただし家を出る前に親御さんが要介護か要支援の認定を受けていたこと、入所中に家を貸したり誰かが住んだりしていないことが条件です。売却額3,000万円なら使えるかどうかで税金が約558万円変わります。まず介護保険の被保険者証と施設の契約書を探してください。
使えるための4つの条件
空き家の3,000万円控除は本来「亡くなる直前まで親御さんがひとりで住んでいた家」が対象です。ただ国税庁は老人ホームなどに入っていて亡くなる直前は住んでいなかった場合でも、次の4つをすべて満たせば対象になると案内しています(国税庁 No.3307)。
| 条件 | 具体的には |
|---|---|
| 1. 認定を受けていた | 家に住まなくなる直前の時点で要介護認定か要支援認定(または障害支援区分の認定)を受けていたこと |
| 2. 決まった施設に入った | 特別養護老人ホーム・有料老人ホーム・軽費老人ホーム・養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院・認知症のグループホーム・サービス付き高齢者向け住宅・障害者支援施設など |
| 3. 入所中も家を空けていた | 入所してから亡くなるまで家は親御さんの荷物の保管などに使われ、人に貸す・事業に使う・親御さん以外が住むのどれもしていないこと |
| 4. 主な住まいは施設 | 入所してから亡くなるまで親御さんが主に住んでいたのがその施設であること |
家具や衣類を置いたままにしていた、親御さんが一時帰宅して泊まったという使い方は条件3の「保管など」に入ります(国土交通省の制度ページ)。
いちばん見落としやすいのは「認定の日付」
条件1の認定は家を出る直前に受けていたかどうかで判定します。入所したあとで認定を受けた場合は条件を満たしません。
介護保険の被保険者証には認定の有効期間が書いてあります。施設の契約書にある入所日と並べて入所日が認定の有効期間に入っているかを確かめてください。被保険者証が見つからないときは、市区町村の介護保険の窓口で認定の決定通知書や認定の証明書を出してもらえないか相談してください。
こんな場合は使えません
- 認定を受けないまま子どもの家や一般の賃貸住宅に移り、そこで亡くなった
- 介護の認定がない状態で施設に入り、認定は入所したあとに受けた
- 入所中に空いた家を人に貸した。または子どもや親族が住んだ
- 親御さんが家を出る直前に親御さん以外の家族も一緒に住んでいた
なお施設の一覧に病院は入っていません。長く入院したまま亡くなった場合に使えるかは家の状況によって変わるため、税務署に確認してください。
家と売り方の条件はふつうの場合と同じ
- 1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられた家でマンション(区分所有)ではないこと
- 相続してから売るまで貸したり住んだり事業に使ったりしていないこと
- 売却額が1億円以下で売る前に耐震リフォームをするか取り壊すこと(2024年以降の売却は翌年2月15日までに買主が耐震リフォームや取り壊しをしても可)
- 売る期限は「相続から3年目の年末」と「2027年12月31日」の早いほう
たとえば2023年6月に亡くなった場合の期限は2026年12月31日です。2025年3月に亡くなった場合は3年目の年末(2028年12月31日)より早い2027年12月31日が期限になります。
捨ててはいけない書類
控除を使うには家のある市区町村で「被相続人居住用家屋等確認書」をもらい、確定申告に付けます。老人ホームに入っていた場合はふつうの書類に加えて次のものが必要です(国土交通省「要件の確認について」別表)。施設を退去するときや遺品を片付けるときに捨てないでください。
| 何を示すか | 書類の例 |
|---|---|
| 認定を受けていたこと | 介護保険の被保険者証のコピー。なければ要介護認定の決定通知書や市区町村の認定証明書など |
| 施設に入っていたこと | 施設との入所契約書のコピー(施設の名前・住所・種類がわかるもの) |
| 入所中に家を空けていたこと | 電気・ガス・水道の契約名義と亡くなった後に止めた日がわかる書類(領収書・請求書・通帳のコピーなど)。または施設の外出・外泊の記録や家に届いた親御さん宛ての郵便物 |
| 住所の移り変わり | 親御さんの住民票の除票の写し。老人ホームに入ったあとさらに別の施設などへ移っていた場合は、戸籍の附票の写し |
電気・ガス・水道の契約は亡くなるまで親御さんの名義のままにしておくと証明しやすいと考えられます。名義が変わっていると、家の管理をしていた人の証明書や家賃収入がないことを示す所得証明書など補う書類を求められることがあります。
どれくらいの差になる?
売却額が3,000万円で取得費がわからず売却額の5%で計算する場合、控除を使えるかどうかで税金は約558万円変わります(売却額2,000万円なら約371万円)。計算は「売却額 − 取得費(5%)− 仲介手数料(上限)」に長期譲渡の税率20.315%を掛けたものです(国税庁 No.3258、No.3208)。
相続した年月と家のことを3つ選ぶだけです。
この記事の出典
- 国税庁 No.3307 被相続人が老人ホーム等に入所していた場合
- 国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
- 国土交通省 空き家の発生を抑制するための特例措置
- 国土交通省 特例措置の適用に当たっての要件の確認について(提出書類一覧表)
- 国税庁 No.3258 取得費がわからないとき
- 国税庁 No.3208 長期譲渡所得の税額の計算
一般的な目安です。最終判断は税理士・司法書士などの専門家にご相談ください。