空き家の固定資産税は本当に6倍?「最大で約4倍」になる理由
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不動産マスター ゆいの結論
6倍にはなりません。上がるのは土地の固定資産税で、上限は約4.2倍(東京23区は約3.9倍)です。都市計画税と合わせると約3.6〜3.9倍。年2万円だった土地なら年7万円ほどになります。
「6倍」と言われる理由
家が建っている土地(住宅用地)は税金を計算する元になる金額(課税標準)が小さくなっています。200㎡までの部分は固定資産税が評価額の6分の1、都市計画税が3分の1です。200㎡を超える部分はそれぞれ3分の1と3分の2です(総務省)。
空き家が「特定空家」か「管理不全空家」として市区町村から勧告を受けるとこの軽減が外れます(国土交通省)。「6分の1がなくなる=6倍」と言われるのはこのためです。
実際は「評価額の70%」で頭打ちになる
軽減が外れた土地は商業地などと同じ計算になります。課税標準は評価額の70%までです。東京23区は都の条例で65%までに抑えられています(東京都主税局)。
- 固定資産税:評価額の6分の1(約16.7%)→ 最大70%。約4.2倍(23区は65%で約3.9倍)
- 都市計画税:評価額の3分の1(約33.3%)→ 最大70%。約2.1倍
この倍率は総務省と東京都が示している割合から計算したものです。市区町村も近い数字を案内しています。藤沢市は「200㎡以下の土地で、固定資産税と都市計画税を合わせて約3.6倍」、静岡市は「約4倍」としています。
計算例:いくら上がるか
固定資産税1.4%・都市計画税0.3%の標準的な税率で計算しています。都市計画税がかからない地域では固定資産税だけの金額になります。
| 地方の住宅地・土地150㎡・評価額600万円 | |
| 今(住宅用地の軽減あり) | 年 約2万円 |
| 勧告を受けた場合の上限 | 年 約7.1万円(約3.6倍) |
| 東京23区・土地120㎡・評価額2,100万円 | |
| 今(住宅用地の軽減あり) | 年 約6万円 |
| 勧告を受けた場合の上限 | 年 約23.2万円(約3.9倍) |
東京23区では200㎡までの住宅用地の都市計画税を都が独自に2分の1に軽減しています(東京都主税局、令和8年度)。23区の「今」の金額はこの軽減を入れて計算しています。
差額は地方の例で年約5万円、23区の例で年約17万円です。勧告を受けたまま10年置くと地方の例でも約50万円多く払う計算になります。軽減は土地だけのしくみなので建物の固定資産税は勧告を受けても変わりません。
あなたの土地の評価額は毎年届く納税通知書についている課税明細書に「価格」や「評価額」として書かれています。
いつから上がるか:1月1日の状態で決まる
固定資産税は毎年1月1日時点の状態でその年度(4月から翌年3月)の税額が決まります。勧告を受けても1月1日までに勧告で求められたこと(屋根の修理・草木の伐採など)を済ませれば、その年度は軽減が外れません(東京都主税局)。
藤沢市は次の例で説明しています。2025年12月に勧告を受けて対応しないまま2026年1月1日を迎えると、令和8年度(2026年度)の税金から軽減が外れます。12月に勧告を受けると対応できる期間は1か月もありません。
1月1日に間に合わなくても対応を済ませて市区町村が勧告を撤回すれば、撤回のあとに来る1月1日の状態で軽減を戻すかどうかがあらためて判断されます(東京都主税局)。
勧告の前に指導の段階がある
勧告はいきなり届くものではありません。管理不全空家なら「指導 → 勧告」、特定空家なら「助言・指導 → 勧告 → 命令」の順です(空家法13条・22条)。指導の段階で直せば勧告は受けずに済みます。くわしくは管理不全空家とはを見てください。
2015年5月から2023年3月までに全国で出た勧告は3,078件です(国土交通省)。空き家全体の数から見ると、勧告まで進むのは一部だと考えられます。それでも市区町村から手紙が届いたら、まず書かれている指摘の箇所を確かめてください。そのうえで期限までに直すか、手紙にある担当課に電話で相談してください。
勧告がなくても軽減が外れる場合
総務省の通知(2015年5月26日)では次のような家はそもそも軽減の対象になる「住宅」にあたらないとしています。
- 壊れていて、構造上住宅とは認められない
- 使う予定がなく取り壊すことが決まっている
- 住むための管理をしておらずこの先も人が住む見込みがない
家を取り壊して更地にした場合も1月1日に住宅が建っていなければ軽減はなくなります(東京都主税局)。解体したときの税金は実家を解体すると固定資産税は上がる?で計算しています。
納税通知書の数字を入れると勧告を受けた場合の上限もわかります。
この記事の出典
- 東京都主税局 固定資産税・都市計画税(23区の小規模住宅用地の都市計画税2分の1軽減)
- 総務省 固定資産税(住宅用地の特例・税率)
- 総務省 固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置(平成27年5月26日通知)
- 東京都主税局 商業地等の負担調整措置
- 東京都主税局 特定空家等・管理不全空家等の敷地
- 東京都主税局 住宅用地の特例と空き家(勧告撤回後の扱い)
- 国土交通省 管理不全空家等・特定空家等に対する固定資産税の措置
- 藤沢市 特定空家等の固定資産税・都市計画税について
- 静岡市 空き家の固定資産税・都市計画税
一般的な目安です。最終判断は税理士・司法書士などの専門家にご相談ください。